第76回手術手技研究会
当番世話人 能城 浩和
(佐賀大学医学部 一般・消化器外科)
この度、2022年5月20日(金)、21日(土)の2日間にわたり、第76回手術手技研究会を「ホテルグランデはがくれ」で開催させていただくこととなりました。本研究会は“手術手技”という普遍的な大命題を幅広い領域で網羅し、臓器横断的に討論を交わす大変特徴のある研究会です。また、最新の手術手技の発信はもちろん、既存の手術手技の改良、また、高難度手術に挑む“術”を明示してきた研究会でもあります。このような歴史と伝統ある研究会を主宰できますことは、大変光栄であると同時に身が引き締まる思いです。
手術手技は常に進歩を続けておりますが、本研究会の開催と継続こそが、我が国の外科技術を支え、発展させてきたと言っても過言ではございません。そして、次世代への伝承という大きな役割も担っております。斯くいう私も、若かりし頃から本研究会に足を運び、学び、そして刺激を受け、今日の自分自身の手術に活かして参りました。
今回のテーマは「手術は“組織との会話”である」といたしました。それぞれの“組織”には必ず固有の由来、起源があります。剥離や切離を行う“組織”に対し、<あなたはどこから来たのですか?>とまさに“会話”を繰り返すことによって、剥離できるべくして剥離できる、といった最も理にかなった手術が可能になると考えております。ただ、“組織との会話”を成立させるには、層をつくりだす“膜”の由来や“微細解剖”を見極める必要があります。今回の研究会ではこれらに焦点を当て、参加された皆様に組織の声を感じていただけるような企画を中心に、発表および討論を促進できればと考えております。
第76回手術手技研究会が参加された皆様にとって、明日からの手術に少しでも役立つものになりますよう、スタッフ一同、鋭意準備を進めて参る所存です。ここ佐賀には、佐賀藩第10代藩主・鍋島直正公が医学館を創設、また当時、不治の病とされた天然痘に対して「牛痘法」の導入による種痘を開始、さらに医療水準維持を目的に佐賀藩医業免札制度を発足(全国に先駆けた医師免許の発行)するなど、医学に関わる先に例を見ない取り組みにチャレンジしてきた風土がございます。また、佐賀牛や呼子のイカ、多数の酒蔵や嬉野・武雄といった温泉など、食にも自然にも恵まれた土地です。是非とも当地を訪れていただき、歴史と伝統ある本研究会の第76回を、皆様とともに素晴らしきものを作り上げていければと切に願っております。
スタッフ一同、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。