第56回日本小児外科学会学術集会会長
久留米大学病院 病院長
久留米大学医学部外科学講座小児外科部門 主任教授
八木 實
この度の第56回日本小児外科学会学術集会を、2019年5月23日から3日間にわたって久留米市の久留米シティプラザで開催させていただきますことをたいへん光栄に存じております。本学術集会の久留米での開催は、第23回の故矢野博道会長に続き2回目です。第23回が1986年(昭和61年)でしたので、実に33年ぶりに皆様を久留米にお迎えするということで、たいへん感慨深いものがございます。
今回の学術集会のテーマを「継往開来~小児外科学の継承と発展~」といたしました。これまでの50有余年で積み重ねられてきた先達の実績をもとに、日本の小児外科医療の更なる発展をめざす会にするため、欧米の著名な小児外科医をお招きし、活発な意見交換を行いたいと考えております。取り上げるテーマとして小児外科領域で大きな柱の一つである消化管運動は私の研究テーマでもあり、重点項目の一つとさせていただきました。また小児外科教育も学術集会の大きな目的のひとつと捉えておりますので、小児外科専門医、指導医を取得し将来の日本の小児外科医療を支えていく若い小児外科医はもちろんのこと、外科医を志望している卒後初期臨床研修医や医学生に対しても、さまざまなシンポジウム、ワークショップ、パネルディスカッションをはじめ、学会主催の各種の教育セミナーなども企画しております。
久留米市は、大分県九重山と熊本県阿蘇外輪山を主水源とし,筑紫平野を潤して有明海に注ぐ九州一の大河「筑後川」が北東部から西部にかけて流れ、東部には屏風のように切り立つ耳納連山があり、広大で肥沃な筑後平野とともに緑豊かで美しい自然景観を誇っています。また、久留米市は明治22年に全国30市とともに日本で初めて市制を施行し、その後、度重なる合併により市域が拡大し、平成20年4月には、九州では県庁所在地以外で唯一の中核市となりました。久留米市は、筑後川の恵みを受けながら、奈良・平安時代の筑後国府設置から現在まで、佐賀県東部を含む福岡県南地域の中心地として発展し、江戸時代は有馬家の城下町として、近代以降は久留米絣の町からゴム産業の町として発展しています。本学はその設立にご尽力いただいたブリヂストン創業者の故石橋 正二郎氏の生誕地である久留米市にあり、昭和3年に九州医学専門学校として創立され、本年で創立90周年を迎え、久留米市は現在、人口10万人あたりの医師数が約500人と国内でも医師数の極めて多い医療の町となっています。
一方で、川と大地の幸に恵まれた久留米市は、昔から豊かな食文化を育んできており、「うなぎ」(蒸篭蒸し)、「エツ料理」(エツは斉魚と書き、ニシン目・カタクチイワシ科に分類される東アジアの汽水域に生息する食用魚)などの伝統的な郷土料理や日本三大酒処を誇る銘酒、「久留米ラーメン」(久留米は、とんこつラーメン発祥の地)、「焼きとり」(人口あたりの店数が日本一)、「筑後うどん」をはじめ、その種類は多彩でバラエティに富み、「B級グルメの聖地・久留米」として全国に向けて発信しています。全員懇親会ではその一端をご堪能いただきたいと考えております。
本学術集会の開催にあたり、日本小児外科学会理事会の全面的な協力を得て、私どもの教室員が一丸となって取り組んでおります。一人でも多くのみなさまにご満足いただけるような学術集会の開催を目指しておりますので、ご支援ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。筑後久留米の地で、多くのみなさまのお越しを心よりお待ち申し上げております。